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9月の末に、徳島県上勝町に行ってきた。徳島から南西に車で約1時間。四国はどこも山が深い。上勝町は驚くような山奥の町である。この町が今、全国の注目を集めている。 人口は2000人ちょっと。もともとみかんの産地だったが、20年余り前に寒波でやられてしまったそうだ。みかんは気温が5度を下回ると枯れてしまうという・・というのは、昨日、高知のみかん農家から仕入れた話。みかん畑は杉林に代わり、急峻な山の頂まで杉一色になっている。集落は山の中腹にあり、棚田を耕して生活してきた。その棚田も杉林になっている。 しかし林業の低落によって手入れの行き届かない山は大分荒れているという。その上勝町が脚光を浴びているのは「葉っぱビジネス」である。和食に添えられる紅葉や南天の葉をつまものというが、上勝町はそのつまものの一大産地なのである。松、南天、紅葉、千両、万両などの葉っぱ、梅の小枝など、自生している樹木から採取して農協をとおして料理屋に卸す。みかんに代わる農産物として年商2億円を稼ぎ出している。仲介をするのはか「株式会社いろどり」という、もとは三セクで今は完全に独立した会社である。ほとんどが高齢者の仕事だが、発注はインターネットを使う。インターネットで注文を出し、それを見た農家が葉っぱを採取して出荷する。年商1千万円も稼ぐ人がいるそうだ。 役場や学校は谷筋にあるが、集落はみな山の中腹にある。車でくねくねと九十九折りの道を上っていくと突然集落が開ける。棚田があり、いろいろな広葉樹があり、茅葺きの家が点在するのどかな風景が飛び込んでくる。「大変なところですね」というと「ここが昔から町の中心だ」という答え。谷は災害のおそれがあるので、集落は中腹にある。隣の集落に行くには、山を下りてまた上らなければならない。そういう場所だ。ここで、お年寄り達がインターネットを駆使して注文をとり、葉っぱを採取しているのだ。 上勝町で有名なものはもうひとつ、ごみのことである。ここは焼却炉を廃止して、ごみの焼却をゼロにする「ゼロ・ウェイスト宣言」をしている。住民は元のごみ焼却炉の隣にある建物(ごみステーション)までごみをもって来ないといけない。ごみの収集は行われていないのである。そこではごみを34種類に分別することになっている。カミソリ、ライター、マジックなど、分別に迷いそうなものは、そのまま分ける。分別したごみの大半はリサイクルされ、リサイクルできないものは町外の業者に委託して処理している。80%はリサイクルされているという。 もっとも山の中に集落が点在しているようなところだから、これまでもごみの収集は行われていなかった。「ゴミ捨て場」に捨てに来ていたわけである。その後、小型焼却炉を設置したがダイオキシンの関係ですぐに廃止し、リサイクルのために細かい分別を始めたというわけだ。からくりを明かすとたいしたことはないが、「焼却しない」とを宣言したために、全国から視察がやってくる。 葉っぱビジネスもごみゼロも、逆境を逆手にとった取り組みだ。それが新しいとみなされ、全国から注目されるようになった。おかげで若い人が住み着くようになり、役場にもいろどりにも、ごみゼロの考えを広めようと町が設立したNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー(指定管理者としてごみステーションを管理している)にも、よそから来た若者が活躍している。 おかけで視察もビジネスになっている。いろどりの視察は有料。町の物産を扱う三セクの会社が視察ツァーを手がける。町内の宿泊施設も視察客で潤う。いろいろな人と出会うためか、お年寄りは元気だ。 上勝町は町づくり、村おこしは、なるほどアイデアであるということを学ばせてくれる。まことに面白い町である。 役場の地下にあるいろどりの事務所。役場に家賃を払っているそうだ。 いろどりの社長横石さん。葉っぱビジネスを考え出した人。県の職員から前の町長に請われていろどりの仕事に就いた。 上勝町にはたくさん棚田がある。しかし棚田も杉林になってしまったり、畑になってしまったりとだんだん少なくなっている。 ごみステーション。建物は電力会社の工事用のプレハブをもらい受けて使っている。 ごみステーションの分別。資源やごみの種類ごとに容器が用意してあって、住民が分ける。 隣接のショップ。おばあちゃん達のリフォーム作品が販売されている。なぜか一番よく売れるのが越中ふんどしだとか・・ |
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